ここでは、うつ病の内容、治 療法、うつ病のチェック等を紹介しまいます。
この内容が参考になれば幸いです。
うつ病とはなんでしょう
わかりやすく言うと、心が疲れたために、気分がゆううつで元気が出ない状態が続く(普通2週間以上)場合を「うつ状態」といいます。心理的原因だけでな く、身体的病気でもうつ状態になります。うつ状態が現れる病気を「うつ病」と呼んでいます。
うつ状態の反対で、元気がありすぎる状態を「躁(そう)状態」といいます。同じ患者さんがうつ状態になったり躁状態になったりと両方の気分変化を示すこ ともあります。このようなタイプは、最近はうつ病と呼ばずに、「双極性障害」と呼ぶことが多いようです。これらを含めた全体を、以前は「躁うつ病」と呼び ましたが、近頃は「気分障害」や「感情障害」といった用語がよく使われます。
うつ病は小児から老年期まで、どの年代でも発病する非常に多い病気で6人に1人は発病するという調査もあるくらいです。最近は軽症のうつ病や身体的症状 の目立つうつ病(仮面うつ病)などが増えているようです。
はじめのうちは、体に異常があるのではと考えて医療機関を転々とすることがしばしばみられます。検査しても異常がないので、たるんでいると誤解されたり もします。しかし、正しい診断と適切な治療をおこなえば、ほとんどのうつ病はたいへんよく治ります。
うつ病になりやすいタイプ
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仕事熱心、きまじめ、几帳面、物事に徹底的にこだわる人。
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世間の秩序を守り、常識を大切にし、いつも他人に気をつかう人。
特にきまじめで、完全主義で、責任感が強く、なにかものを頼まれても、ノーと言えない、他人の評価を気にする人(執着性格、メランコリー型等)は、社会 的にも尊敬もされますが、家でもいい父親や母親であろうとしたり、模範的家族の一員であろうとすると、きっとどこかで息がつまってしまいます。家族や社会 から重い責任と負担を背負いこみ、うつ病を発症するきっかけとなることも考えられます。また、はっきりした原因もなく、周期的に落ち込むタイプ(循環気 質)の人もいます。
※このようなタイプの人すべてがうつ病にかかるというわけではありません。
う つ病の原因
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心理的な負担:仕事量の増加や家族内のトラブル による過労。職場の
配置換えや引っ越しなどの環境の変化。子供の独り立ち
肉親の死去などの喪失体験。
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身体的な負担:妊娠、出産、閉経、リウマチ、老 年痴呆、脳梗塞後遺症
など。
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薬の副作用:高血圧治療薬、経口避妊薬、副腎皮 質ホルモン、インター
フェロンなど。
人は自分にとって大切なもの(対象)を失ったときなどに(心理的原因)、悲しみ、空しさ、気力の低下を感じます。それが体の症状としてでることもありま す例えば、不眠、頭痛、心臓がドキドキする、疲労感、食欲不振等・・・・。これがうつ状態です。
健康な人なら、例えば失った事実を次第に認め、悲しみや喪失感を体験するうちに、新たな現実を受け入れていくといった形で、うつ状態を克服していきま す。
ところが、几帳面でまじめな性格の人が過去の失敗にこだわったり、ささいな失敗を悔やみ、うつ状態からなかなか立ち直れないことがあります(性格的素 因)。そのほかにも、職場の人間関係のトラブルや、家庭での夫婦間や親子間での争い(環境的要因)から、ストレスや慢性的な疲労がたまり、身体のバランス を崩した状態がうつ病の発症につながることもあります(身体的要因)。また、脳梗塞や甲状腺機能障害症などの身体的病気からうつ病が発症することもありま す。
このとき、脳内の神経伝達物質(例えば、セロトニン等)が重要な役割を果たしており、抗うつ薬がこのアンバランスな機能の改善に役立つともいわれていま す。
治療により、うつ状態のきっかけとなった心理的原因、環境的要因を受け止められ、それが改善され、身体的にも元気を回復し新たに人生を自ら歩みだしうつ 病から抜け出すことができます。
うつ病の症状
家族や周囲の人が気づきやす い症状
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何にも 興味を示さなくなった。
●
てきぱきとやれなくなった。
●
セックスに消極的になった。
●
急にやせてきた
●
暗い表情で笑顔が見られなくなった。
●
外では動けるのに、家では横になることが多く なった。
●
「取り返しのつかないあやまちを犯した」とか 「不治の病気にかかった」
とか思い込んでいる。
自覚症状
●
気分の症状:気分が落ち 込む、自信がなくなる、 めいる、寂しい。
●
思考の症状:集中力、判断力の低下。悲観的で自 責的な考えになる。
●
意欲の症状:気力がなくなる。おっくうになる。 楽しいと感じられずに興味
がわかなくなる、迷って決められない。
●
身体の症状:不眠、食欲低下、だるい、肩こり、 頭が重い、胃の不快感、
便秘、性欲低下。
●
不安・焦燥:何か不安で落ち着かない。いらいら する。
●
睡眠の異常:いつもより早く目が覚めて熟睡感が ない。
う つ病は治るでしょうか
うつ病はきちんと治療を受ければよくなります。治療の基本は、薬(抗うつ薬)を飲むことと、休養をとることです。
からだの調子
1.
夜なかなか寝つけない。
2.
夜中に何度も目がさめる。
3.
朝早く目がさめる。
4.
頭が重い感じがしたり、頭痛がする。
5.
からだがだるい、疲れやすい。
6.
原因不明の肩こり・胃の不快感・動悸・便秘・ 下痢がある。
7.
いつもより性欲がない。
8.
いつもより食欲がない。
職場での調子
1.
仕事をはじめるのがおっくうだ。
2.
仕事に集中できない。
3.
なかなか物事を決められない。
4.
人と会うのが気が重い。
5.
ちょっとしたことでいらいらする。
6.
なんとなく不安になる。
7.
自分のせいで仕事がうまくいかないことがよく ある。
8.
これからのことについて自信が持てない。
家庭での調子
1.
朝は気分が重くて、 おっくうだ。
2.
夕方になると気分が軽くなる。
3.
生きているのが嫌になることがよくある。
4.
テレビをみても、おもしろいと感じられない。
5.
おしゃれや着るものに関心がわかない。
6.
一人ぼっちで、寂しいと思うことがよくある。
7.
ちょっとしたことで涙がでることが多い。
該当する項目が多いほど、うつ病の可能性が高いと考えられますが、少ないからといってうつ病でないともいえません。気になることがあるときには、早めに 医師の診察を受けることをお勧めします。
仮面うつ病とは、身体症状が主で、精神症状がはっきりしない軽症のうつ病のことをいいます。
●
身体症状は、全身のだるさ、疲労感、めまい、し びれ、頭痛、肩こり、胃部
不快感、胃痛、腰痛、便秘、下痢、食欲の低下、体重減少、不眠、性欲
の低下など、人によっていろいろです。
●
一通りの検査を受けても身体の病気がみつから ず、それでも身体症状が
続く場合には、仮面うつ病の可能性がありますので、医師に相談してみる
ことをお勧めします。
●
薬(抗うつ薬)を飲むことで症状は改善します。
ゆっくりと休養できる環境を作ることです。そして、医療機関への定期的通院ができるよう配慮することです。うつ病になった人は自分がなにもできなくなった ことに罪悪感をもっています。よかれと思って、励ましすぎたり、責めたり、焦らせることは禁物です。かえって症状を悪化させることになります。暖かく見守 ることです。
必要に応じて職場や医療機関との橋渡しが必要になるかもしれません。
状態に応じて患者さんの了解を得ながらその役割をとるといいでしょう。
うつ病も身体の病気と同じで、治療によって回復するものですから、服薬をきちんとすることが大切です。
回復する過程で、時としてうつ状態が少し悪化したりすることもありますが、必ずまたよくなることを知っておきましょう。そして、回復したときには、周囲 も一緒になって喜ぶのも人情ですが、回復した気分の背後にうつ的状態が潜んでおり、時として自殺の試みをすることがありますので、注意して見守る必要があ ります。
「腹八分目」という言葉があります。ゆとりが大切です。そして、自分の心身の健康は自分で守りましょう。
体調が悪かったり、気分が沈んだりすることがあれば、心身が休養を求めて信号を発信していると考えてみてください。必要なら早めに休養をとることです。 以前、通院服薬していた経験のある人は早めに治療を受けることが必要です。
日頃から、睡眠がとれているか、趣味をもって楽しみながら生活しているか、新聞やテレビに関心をもてているか、仕事だけの生活になっていないか、家族や 友人とのつきあいができているか、適度の運動をしているか、といったことを時々チェックしてみましょう。
1
まず、うつ病は必ず治ることを信じましょう。
2
主治医の指示にしたがい、薬はきちんと飲みましょう。「抗うつ薬」は乱れ
た神経のバランスをもとに戻して、落ち込んだ気分を改善し意欲を高める
はたらきがあります。不安、いらいら、不眠には、抗不安薬や睡眠薬が
症状に応じて併用されます。副作用が出たら主治医に相談しましょう。
3
心と身体をゆっくり休ませましょう。中途半端な休養ではなく、仕事や家の
中の雑事から離れてのんびりします。旅行やスポーツは疲れをともないま
すので、よくありません。
4
うつ病の間は、重大な決定をすることはなるべく避けましょう。「退職する」
「学校をやめる」、「離婚する」などの決定は先に延ばしましょう。
5
職場や学校には、主治医に診断書を書いてもらい、休養をとるようにいわ
れたことを伝えましょう。
6
つらいからといって、お酒に逃げるのはやめましょう。
7
再発させないように注意しましょう。自分の性格と以前にうつ病になった
こととの関係をよく理解し、物事を柔軟に対応し、疲労をためないように
しましょう。
監修:東京慈恵会医科大学 精神医学講座
牛島定信 教授
監修:(社)埼玉県精神保健福祉協会事務局
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